「うぉっちんぐ探偵団が行く vol.67」1980年代の夏の長崎を舞台にした映画『サバカン SABAKAN』特集(2022年8月)

監督の地元である「長与」や、「時津」などを舞台にした映画が今夏(2022年8月19日)、公開されると聞き、うぉっちんぐ探偵団は、監督にインタビューへ向かいました!
※2022年8月現在の情報です。最新の情報は公式サイトにてご確認くださいませ。

STORY

1986年の長崎。夫婦喧嘩は多いが愛情深い両親と弟と暮らす久田は、斉藤由貴とキン肉マン消しゴムが大好きな小学5年生。そんな久田は、家が貧しくクラスメートから避けられている竹本と、ひょんなことから“イルカを見るため”にブーメラン島を目指すことに。海で溺れかけ、ヤンキーに絡まれ、散々な目に遭う。この冒険をきっかけに二人の友情が深まる中、別れを予感させる悲しい事件が起こってしまう・・・。

【出演】 番家 一路・原田 琥之佑尾野 真千子・ 竹原 ピストル・草彅 剛 監督:金沢知樹

©2022 SABAKAN Film Partners

公式サイトより

監督プロフィール

作家・演出家。舞台や映像の脚本を中心に活動。08年、舞台『部屋と僕と弟のはなし』で文芸社ビジュアルアート「星の戯曲賞」準グランプリを受賞。短編 映画『半分ノ世界』(13年/脚本/齊藤工監督)が国際エミー賞ノミネート、セルビア日本交換映画祭アイデンティティ賞受賞。『TATAMI』(脚本/齊藤工監督)は第51回シッチェス・カタロニア国際映画祭でワールドプレミアのほか2019 Asian Academy Crea8ve Awardsにて主演男優賞(北村一輝)、主演女優賞 (神野三鈴)、撮影賞(早坂伸)受賞。20年、TBS系ドラマ『半沢直樹』の脚本を担当。ほか代表作に16年『ガチ星』(脚本/江口カン監督)、リリーフランキーが主演を務めた映画『その日、カレーライスができるまで』の原作と脚本を担当。2023年には大相撲を舞台としたNetflixオリジナルシリーズ『サンクチュアリ -聖域-』(脚本)が全世界配信。脚本・監督を務めた、草彅剛・尾野真千子ら出演の映画『サバカン SABAKAN』が2022年8月全国公開、また文藝春秋から同名タイトルの小説『サバカン』が発表される。2022年7月期 にはKing & Princeの永瀬廉が主演を務める日本テレビの日曜ドラマ『新・信長公記』の脚本チーフを担当している。

映画製作に至った経緯

十何年前、仕事が奮わずお金もない中で、ずっと『九州に帰りたい、長崎に帰りたい』という思いがあって、mixi(SNS)で、虚実を交えながら長崎のことをテーマに日記みたいなものを書いて、話題になったことがあったんです。 その後、紆余曲折あって、エグゼクティブプロデューサーの飯島三智さんに気に入ってもらえて、何か面白い話はないかと聞かれた時に、mixiで書いていたその日記の話しをしたんです。そしたら、それを小説にして草彅 剛さんが朗読し、ラジオドラマにしようという話に。 ところが、全部収録した後で色んな事情からそのラジオドラマが白紙になりました。でも書き手としては、書いた時点でもう満足で、放送はできなかったけれど大好きだった草彅さんも読んでくれたし、もういいかと。 ところがその数年後、急に飯島さんから「コロナ禍で会いたい人に会えない状況だからこそ、家族や友達の話であるこの作品をやるべきだ」と映画化の話が出たんです。 飯島さんがそこまで言ってくれるし、舞台が長崎だったらみんなとも会える、じゃあやってみようかというのが今回の映画です。

作品への想い

これをみて感動してほしいというのではなくて、自分自身が父や母を含む「僕の周りの人」を面白いと思っていて、そんな自分の好きだった人とか、好きだった場所をみんなに知ってほしいというだけなんです。他の作品も全部そうなんですけどね。

(写真は少年のモデルであり、撮影にも協力した、同級生の竹松さん)

長崎を舞台で書き上げた作品は他にも色々あるので、それをきっかけに長崎が話題になると良いなと思います。もっとみんなで盛り上げていってください。

キャスティングについて

まず、朗読劇をやっているので、一番作品についてわかっている人だし、元々好きだから、草彅さんとは絶対やりたいと。他にも、うちの父がモデルになった主人公のお父さん役は、歌がうまくて作業着が似合う人となると、竹原ピストルさんしかいないと思って声をかけました。最初は長崎弁を喋れないと断られて、でも上手に長崎弁で喋ってほしいんじゃなくて「ただ単にこの街で生きてる人」をやってほしいだけ、とにかくそこにいてほしいですと言って出演にOKをもらったんです。後は、長崎には一番行きたい人と行こう、と思って決めたのが今の子役の2人です。

撮影時の思い出、エピソード

撮影で80人程来る予定だったんですが、泊まるホテルがない。それで、時津町長まで話を持っていったら、映画のタイトルが「SABAKAN」。これはもう時津とマッチしているということで、宿泊もですが全面協力してくれたというのは嬉しかった。また、私のふるさとである長与町も撮影場所の提供等に全面協力してくれてとても感謝しています。本当は、エキストラ等も色々お願いしたかったんですが、コロナ禍でできなくて、それがとても残念。草彅さんは素人の良さを引き出してくれる技術というか、懐の広さがすごい。裏表もない、本当にあのままの人です。

ふるさとへの想い

住んでいる人から見れば何もないように思えるかもしれないけど、長与も時津もいい所がいっぱいあるんですよ。長与町のゴミ焼却場(クリーンパーク長与)の上の道から見る朝日が綺麗だとか、時津の埋立地で見る朝焼けが綺麗だったり。だから、これからももっと、そういうところを舞台に作っていきたい。改めて撮影を通じてそんな風に思いました。

この道を目指す方へ

本を読んだり書いたりっていうのは皆さん言いますが、自分も映画は1日3本見て、本は1日1冊読むというのを1年半ぐらい続けていました。黒澤明さんの言葉で、「とんでもない発想力は、とんでもない知識の上にしか成り立たない。だから、とにかく本を読む」というような言葉があったんですけど、結局、文字を書くなら、文字をいっぱい知っておかないといけない。たくさん言葉を知っている人の「ありがとう」と、最低限の言葉だけ知っている人の「ありがとう」の意味は違うから、と。だから、まずは本を読んだ方が良いと思います。漫画でも映画でも、音楽でもいいと思うし、特にこういう時代なので、何か自分が好きなことをやっていったその先で、『創作』になるんじゃないかと思います。

一町一品も映画「SABAKAN スペシャル特集」です!

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